地域観光の最前線ノート

地域の観光事業の最前線で事業に奮闘するブログです。

地域ビジネスが行き詰ったときに読んでほしいこと~「主役戦略」と「脇役戦略」

普通の人が読んで、役に立つかどうかといったら、全く役に立たないけど、回りまわってどこかの誰かの役に立つこともあるかも、ということで地域での商売が行き詰ったときに試してもらいたいことをご紹介します。

「最近、なんか地域での商売に行き詰まりを感じるな~」という方の参考まで。

 

  

商売には「主役戦略」と「脇役戦略」がある

みなさんは、自分の商売のやり方が「主役」なのか「脇役」なのか、

意識して事業をやっていますか?

地域で観光をする中で、事業の立ち位置が意識できるようになると、自社の経営改善のために打てる手のバリエーションも増えてくると思います。。

例えば、テーマパークは「主役戦略」向き、旅館やホテルは「脇役戦略」向きなどそもそもの事業の性質によっても、主役向きと脇役向きがあります。

以下、ちょっとした持論になりますが、「主役戦略」と「脇役戦略」についてご説明します。

 

「主役戦略」とはお客さんの目的になろうとすること

「主役戦略」とはお客さんの目的になろうとすることです。

「え、どういうこと?」という方、地域で繁盛しているお店を例に説明してみます。

繁盛しているお店には「主役戦略」を採っているものと「脇役戦略」を採っているものの2パターンがあります。

 

「主役戦略」を採用しているお店の具体例

地域の特産品を生かした、そこでしか食べられない料理が売りのお店

 

「脇役戦略」を採用しているお店の具体例

一日1000人が訪れる観光地の中で最高の立地にあるお店 

 

「主役戦略 」と「脇役戦略」の違いがなんとかなくわかるでしょうか?

「主役戦略」とは、自社の魅力を「売り物」にしている戦略で、基本的に自社に来ることをお客さんの旅行目的にしよう、という経営努力のことです。つまり、自社がお客さんの目的地状態です。

反対に、「脇役戦略」とは、自分以外の何かの魅力を「売り物」にしている状況で、別の目的で来ているお客さんを取り込もうという経営努力のこと。ある意味では、自社はおまけ状態で、場合によっては仕方なしに利用することもあります。

 

まだピンときていない方のために、別の例でも説明します。

 

あなたが例えば、経営難の旅館を立て直さないといけない経営者だとします。

いろんな売り上げを伸ばす方法があると思いますが、あなたならどうしますか?

 

「内装をリニューアルして部屋の魅力をアップする」

「腕のいい料理人を雇って、食事を強化する」

 

どちらも良い方法ですよね。うまくいけば、きっと売り上げも上がるでしょう。

これは、前述した「主役戦略」と「脇役戦略」どちらでしょう?

この例、実はどちらの方法も「主役戦略」に乗っ取った手段になっています。

 

経験として人は自社の経営を無意識のうちに「主役目線」で考えてしまいます。もちろん、「主役目線」は何も悪くありません。自社で本当に価値が作れれば、売り上げも上がるでしょう。

しかし、もし、「主役戦略」でなんらかの行き詰まりを感じたら、ぜひ「脇役戦略」も試してみる価値があります。

行き詰ったら「脇役戦略」で商売を考えるとうまくいく

「脇役戦略」を採用するには、自分の商売だけを考えていてはいけません。

ちょっと目線を高くして自分たちの事業がある地域全体を見渡してください。何かお客さんにすでに評価され、お客さんが行動する目的になっている場所・お店・地域資源はありませんか?

何かある場合、一定の価値を見出されている「それ」と、自分の事業をつなげることはできませんか?

 

先ほどの経営難の旅館のケースに戻って「脇役戦略」で考え直してみると、どうなるでしょう。

 

例えば、車で行ける距離に良いレストランがある立地なら(普通は何かしらありますよね)、自社での夕食提供をいっそのことあきらめ、そこのレストランへの送迎をして、泊食分離型の宿泊プランなんてどうでしょう?

また、自社で夜の肝試しツアーを企画して、それを目的に地域に来訪してもらい、結果的に自社での宿泊客を伸ばす、というのも実際に効果があるはずです。

(夜に出かけたら、帰宅が面倒になって泊まりたくなるもんですよね。)

 この「脇役戦略」、コスト面でも実戦でかなり使える戦略でもあるんです。

「脇役戦略」は経営資源がなくてもできる

「脇役戦略」は、特に経営の立て直しなど、あまり経営資源(人・モノ・金)に余裕がない場合に効果を発揮します。なんせ、他力本願ですので、謙虚な気持ちで周りにお願いさせできれば、相手の価値にちゃっかり便乗することができるからです。

 例えば、先ほどの二つの例。自社で内装のリニューアルをすることや、料理人を雇って食事を強化することを考えると、夕食提供をあきらめて、送迎する方がずっと安く、実行できることがわかります。

 

はじめに戻って、テーマパークは「主役戦略」向き、旅館やホテルは「脇役戦略」向きといったこともわかりますよね。テーマパークはそこを来訪目的にする以外の方法でお客さんに来てもらうことは難しい事業になります。逆に、旅館やホテルはそこでの宿泊体験以外にも、温泉目的に泊まる場合や、観光の拠点として仕方なしに泊まる場合など脇役としても十分に商売が成立する可能性があります。

 

というわけで、納得いただけたかどうかわかりませんが、実際に事業をやる中で、こんなことを考えていますよーという一例でした。